2019年04月19日

心と体を繋ぐ言霊。


「心と体がバラバラなんだ!」

のたうちまわり、
叫び続けながら
あなたは歌い続けるんだろうか。


「あなたと触れることで自分と繋がれる!」

しなだれて掴まり立って、
這うように壁をつたい、
私の元に君はやってきた。


「あなたに出逢会える瞬間、自分になれる」

なぜ私なのかと問いただしても、
君は狂ったように叫ぶだけで。

たった一瞬の時間だけを求めて
ここにやってくる。


確かに、
私の手に触れる人は、皆が驚く。

自分の手がこんなに冷たかったことを
あなたに触れてわかったんだ。

ああ、私はどこで
こんなに冷え切ってしまったのか。

そんな風に。


私の手は燃えるように熱い、
熱い生命力を求めてやってくる人は
昔も今もこの先も後を絶たない。

でも私にできるのは、
あなたの手が暖かかった時を
思い出すきっかけを作るだけ。


私の声は突き抜くように鋭い、
鋭さに胸を突き刺されようとくる人は
霧を切り抜け心に光を届けたいのだろう。

そう私にできたのは、
濃霧を真っ直ぐ進む光の眩しさを
瞳に加えただけ。

痩せ細っても
声枯らしてもなお、
あなたは自分を取り戻すため、
一瞬を求めて私の元にやってくる。

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大丈夫、私も馬鹿じゃない。

私の熱すぎる熱を
少しづつ声に分けて人々に伝えているよ。

あなたを大切に愛してくれる
そんな人たちを集めている。

あなたは確実にこれから
的確に自由と愛を得るだろう。


慌てず、焦らず。
今はどうかゆっくりおやすみ。

ゆっくり瞬きをしてみよう。


そんなことまでしても
私たちに会いにきてくれる君たちを
君を大切に愛している。

posted by ユーリー at 12:00 | スピリチュアルの解放

2019年04月17日

夜を抜けたその先で、弱き優しい人が抱きしめた。

この話の続き。

「あなたは誇りが嫌いでしょう?」


なぜバレた、いや、そんなはずはない。

私は過去を何も語っていないし、
この瞳で誇りに敵意を向けたこともない。

月夜の下、彼女がぽそりと呟いた。

「あなたに嫌われたくない」


新しいお茶の葉を手にして浮かれ
満月のお茶会を楽しみに淹れたのに。

お茶を出した途端にこれだもの。
嫌になっちゃう。

彼女の重要な話をするときの
タイミングの悪さだけは
これっぽちも共感できない。

唯一、私が未だに
彼女を嫌いなところのひとつだ。


そもそも、多くの人に好かれる
気品ある誇り高い気高い人。

そりゃあ、負けず嫌いな獣の微笑みに
足の震えてしまいそうに怖くなるけど。

私が同じセリフを言うのは理解できる、
しかしこの弱腰、何があった。


「私は嫌っていませんよ。
不安の原因を教えてください」

彼女は初めて、私から後ずさりした。

初めて、うつむいて。

初めて、涙目でこう言った。



「誇りを捨てたわたくしを見て、
少し嬉しそうにしていたのは、
ちやほやされていたわたくしを見て
いい気味だと思ったから?」


不安のわけがようやくわかった。

誇りを一度捨てた彼女は、
新しい道歩きのなか、
再び築き上げようとしている。

子供の頃から注目を浴びていた彼女の
生まれる前から用意された誇りを捨てて
初めての散歩道。

彼女は怯えていたのだ。


今の彼女は何も怖くない。

私は得意だ。

不安を小さくしてみたり、
不安を温め聖なる思い出にすることが。

突然、背中を抱きしめるなんて
そんな無謀なことはしない。

私は彼女の震える片腕だけ、
そっと抱きしめた。


「あのとき喜んだのは、
王座の誇りを捨てたあなたが
本当に美しかったからだよ」

「今はもう捨てる誇りは何もない」

「誇りがなくてもあなたは美しい。
王宮を飛び出したんだもの。
そんなあなたを美しいと感じる人に
もっとたくさん出会えるよ」

「わかった。
それまで自分自身の選んだ散歩道で
誇りを作り上げていこう。
あなたと目線を通わせ、美しくなろう」

「そうこなくっちゃ。
同じお茶を飲まなくても、
私は嫌われるまであなたの心のそばに居る」


怯えていた獣の目は、
ふわりと花のように笑うと
再びつるぎを鞘から抜き月夜の空にかざす。


「どうだ見たか、今は遠くに暮らす父上よ。
見てくれたか、今も娘の活躍を願う母上よ。

わたくしは私だけで夜の闇に立って居る!」


今まで聞いたこともないくらいの声量で
勇ましく張り上げた宣言。

夜の木陰に隠れ潜む小さい獣たちが
一斉に彼女の周りから姿を消した。


の、だが。

私はなぜが、
砂場の城をうまく作れたと言うような
可愛く胸を張る子供に見えた。


そうだ、私たちはまだ
出会っていないだけなんだ。

誇りなんてものは後ろに勝手についてくる、
前に掲げなくていい。

不安な夜のとき、こうして
少しだけ腕の中で抱きしめあえばいい。

美しさと可愛らしさを認める
出逢いを待つ人たちと
抱きしめ会えばいい。


満月の夜、夜更かしした私たち。

次の夜明けは、たぶん眠いから。
目覚めのお茶をそれぞれ別々に選ぶんだ。

唯一ひとつだけ
共感できることを喜びながら。

今日はすこし
優しい味のお茶だねと呟き合う。

posted by ユーリー at 20:58 | 誇り高く美しい瞳

2019年04月14日

お茶を嗜む情熱の時間。

この話の続き

「あなたは何を望むの?
同じ闇ばかり切り裂いく毎日で
気が狂いそう」

もううんざりとため息をつき、
お茶を嗜んでいた私に尋ねられる。

あらゆる種類の闇に闘いを
挑み続けた彼女。

突然に私の欲望のリクエストを
聞いてきたのだ。


「願いを言えばあなたは幸せになれるの?」

「もちろん、充実を感じる。ほら早く」


あなたの望みくらい
自分に叶えられないがはずない。

誇り高い人、
言わなくても、顔に出てますよ?

なんてわかっても、
怖い獣の目に睨まれたら
怖いので決して言わないけどね。


「あなたの情熱はどこにあるの?」


私の情熱…

随分前に熱過ぎて自分で粉々に壊した。

結局、
情熱は砕けるだけで消えなかったのだけど。

砕けて細かくなった私の情熱は、
一度、持てる全てを捨てないと入れない
空間に置いてある。

何もない空間に耐えられる者だけが
探しに行ける。


「情熱はない。好奇心しか残されていないんだよ」

「答えになっていない」

「答えたくない」

「なら、わたくしと一緒に情熱を作りましょう」


今、笑った?
見つからないことを喜んでいる?

なんて傲慢で負けず嫌いで
挑発的な微笑み。

気高い人なんだろう、
最高に狂ってると思った。

決して言わないけど。


「今気づいた。
あなたの火傷の跡、
自分の情熱で神経まで焼いてしまったせい。
だからあなたは闘えなかった」


ああ……もう……どうして。

愛の底知れないこんな獣の目に
捕まってしまったんだろう。

自分の好奇心が憎い、
彼女に出会ってしまったら
最期だったんだ。

捨てた情熱なんて探さなくても、
恐ろしい熱の込めた
望みを願いを叶えようと。

体力を持て余した彼女が
面白がり動き出してしまうのだから。

「情熱のありかが教えれば、
あなたもわたくしも面倒ではないけれど?」

不屈にまた、
挑戦的に嫌味なほど美しく笑いかける。


しかし。

情熱のありか言うつもりなんて、
決して言うつもりはない。

言えるはずがないのだ。


私が過去に望みを情熱を注いだ過去を。

全ての王族達の栄光のつるぎと
誇りのローブを落とした人と
対等に愛し合おうとした時間のことなど。

posted by ユーリー at 09:28 | 誇り高く美しい瞳

2019年04月13日

諦めることすら忘れてしまった恋する人々。


たくさんの恋をしたいと望み、
恋したもののそばにいるだけで
良いとしたけれど。

そばにいるだけでは
この星ではあいしてるは伝わらない。

恋するだけでは足りない。
私たちは動き続けなければならない。


あきらめて
まぶたを閉じて
永遠に眠ってしまえない。


鍛え上げられた肉体も意味をなさない。

叫び身につけた声も届かない。

愛を乗せる容量はかぎられている。

すぐに愛は生命力によって
燃やされ燃費も悪い。

こんな星にしか、
愛を乗せる風がないなんて、
宇宙なんて馬鹿げている。


恋することを諦めた文明ばかりが
己の正義を激しくうたう。


故郷にも、花にも、食べ物にも、
アイドルにも、人にも、
空にも海にも人は恋をする。

私たちは大切に恋をして、
大切に恋をされたりする。


宇宙の多くが、
もがきあきらめたことを
私たちは無謀にも
成し遂げようと毎日生きる。

揺れてブレて陥ちるまぶたを感じながら、
重たくなったまぶたを持ち上げ、
何度も愛を感じて目覚めてまう。


諦め悪く、今日もまた。

何かに恋をして落ち込み、
愛を乗せて伝え、
幸せを感じ続けるしかないのだから。

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posted by ユーリー at 20:35 | 命の解放

2019年04月10日

誇り高き、逃げ道の塞ぎ方。

このお話の続き

王座を捨てて、
獣のような瞳で私を追いかけてきた
彼女の前で言うべきではなかった。

「嫌われるまでそばに居るだけ」

人はあんなに嬉しそうに、
希少な鳥の羽を紡いだローブを
誰かにあげてしまえるものなんだなと。

誇り高い人の前で思った。


これから何をするの?と、
追いかけてきた勢いで
笑顔で話しかける。

私が言えたのはたった一言。

「逃げ道を作るんだよ」

誇り高い人は、そんなバカなと。

あなたのそばに居ることで
私はさらに美しくなれたのに、
逃げ道を作れと言うのか、と。

何も言わなくてもわかってる。
だって瞳が答えていたから。

苛立ちながら、
逃げ道をいくつか作る私に
彼女は疑問を話しかけ続けた。

「闘えばいいのではなくて?」

「勝てる見込みがないよ」

「勝てるようになればいいのでは?」

「努力は資金と体力のある人の娯楽だよ」

「そんなに作っても、逃げ道は1つしかつかわない」

「いいや。この逃げ道はほとんど私はつかわないよ」

「誰のために?」

「私の好きな人たちが使うんだよ。あなたもね」


彼女の困惑した笑顔を
皆さんにも見せてあげたい。

最も欲しがっていた
愛されて居るという言葉を聴いた喜びと。

最も嫌っていた
逃げ道が用意されて居ると知った苛立ちを。


「逃げていたら、前進めない」

「いいや、逃げ道を作りつづけながら、近づけば良い」


少しづつ腕力は付いている。
目的にちかづきやすい効率も覚える。
好きになってくれる人に会えるチャンスも増える。

私はひとつひとつ、
これまで彼女に出会う前に会得した
経験と知恵を授けた。


「全て理解した。そして、あなたのやり方はサッパリ分からない」

「それでいい 」

「何故、獣のような瞳となる、わたくしから逃げないの?」

「逃げられないと心決めた時、無駄なことはしないだけ」

「どうなってしまうの?」

「心して、美しくなるあなたを見つめて喜ぶだけだよ」


今、私が。

脚が震えていることを
気づかれなかったろうか。

声が上ずりそうなことを
悟られなかったろうか。

つい、
目をそらしてしまったけれど。

熱いを帯びた怖い目線を
私に向けないでと
切望した想いが漏れなかったろうか。


顔を背けて続いたのは、
うなじに枝垂れかかる彼女の髪だった。


みんなに教えたい。

愛に溺れそうになりながら、
必死に叫びを堪えている荒い吐息。

そんなものが、
まるでケモノが唸りをあげながら
苛立って吹きかけられている怖さを。

逃げられない彼女の頭が
逃げ道すらない私の鎖骨に
磁石のようにくっついている。


「いま、すごく、怖いです」

「いま、すごく、この首、噛みちぎってしまいたい」

「いっそのこと、その方が楽になれるのなら、いいかも」


彼女は大笑いしながら、
私の体から離れて、空を指をさした。

「いいえ、超えてみせる。
弱さを認めるだけに特化した
好奇心ある人を愛してみせるぞ!
わたくしはこの太陽よりも、
美しくかがやける存在となるのだ!」


ああ、なんて無謀な人なんだろう。

そんなことしてしまったら、
私たちはあなたを見るたびに
太陽のごとく焼き尽くされてしまうのに。


「あなたの逃げ道など必要なくなるくらい、
まっすぐ先陣を切り開いてみせようぞ!」

さあ勝負だ。

護身用の私の剣を鞘から引き抜いて、
私の目の前の暗闇を切り裂きはじめた。


また、やってしまった。
とんでもないことになった。

コウカイサキニタタズ、
フクスイボンニカエラズ、

君子は豹変す。


勝負なんてするつもりはなかったけど。

王座を捨てた瞬間以上に嬉しそうで、
つい逃げ道を作るのをしばし忘れて
そのまま眺めてしまった。

「どうした、わたくしに見惚れたか?
もっと見るといい。
向き合うたびに、繰り返し、
わたくしを美しくするのだから」


怖くて美しいひとは、
やはり私を逃がしてくれなかった。

posted by ユーリー at 07:56 | 誇り高く美しい瞳