2019年02月22日

美しさを極める面白いひとの出会い。


誇り高い女性が言った。

「あなたの誇りを取り戻せば、
わたくしはもっと美しく輝ける」


取り戻すとは一体。

私にとって誇りとは、
前に掲げるものでも誰か励ますものでもなく。

時々、信念を気まぐれに貫くと、
後ろに少しだけ付いてくるものだと思っていた。


誇り高い彼女が言った。

「あなたはなにも知らない。
なにも知ろうとしない。
あなたの誇りを知ろうともしない」


何も知らないとは一体。

私にとって知るとは、
彼女が言い放つ美しいものよりもっと野蛮なもの。

時々、好奇心の数だけ心を使うと、
身を刻まれるような野蛮な行為だと考えていた。


美しき誇り高き人の気配を
純粋に良いと感じたから、
気まぐれに玉座を眺めに来たはずなのに。

初対面にして玉座から離れ、
こちらに近づき、
目線逃さぬように睨みかけられる。

私は恐ろしくて、怖くて、
底が見えない圧倒的な愛を前にして、
震える脳内で溺れながら、
言葉もがき、必死に言葉をかき集めた。


「私の誇りは、
生きた後ろついてくるものであるのです。

自分では見ることはできません。
鏡にも映りません。

あなたの言葉を信じるしか、
誇りを知ることができません。

でも、もしも、あなたが、
私に誇りを取り戻して欲しいとするならば、
あなたのそばにいることで
私は誇りを取り戻すことができるでしょう」


それでいいというように頷くと、
長く座って来た玉座に、
自らのマントとブーツを置いた。

積み上げた誇りを捨てた彼女が言った。

「あなたは私の瞳の中を見て、
誇りを思い出すのだ。

わたくしはあなたの瞳の中に
誇りを思い出そう。

わたくしたちは対等となり、
さらに美しくなるぞ」


とんでもないことをしてしまった。

後悔先に立たず。覆水盆に返らず。
井の中の蛙、大海を知る。


彼女の捨てた誇りや輝きが、
王座を囲む騎士や大臣たちに
振り分け与えられて行く。

与えられて歓喜する人、
与えられて悲しむ人、
与えられて何も考えられなくなる人。


なんとも言えない場の空気の中、
私が言えたのは、たったひとつの質問だけ

「あなたに嫌われるまで、
私はそばにいることしかできないよ?」

ふふんと、誇りを失ったのに
前よりも美しき彼女が言った。

「この世界に生まれ落ちたのだから、
さらに美しくなり続けたいと思うのは
当然のことだろう?」

答えになっていないような答えを
ウィンクをしながら言い放つ。


もうあの瞳からは逃がしてくれないだろう。

私が己の誇り
というものやらを思い出さない限り。

美しき彼女がさらに美しくなる限り。

posted by ユーリー at 12:45 | 誇り高く美しい瞳