
「物語は一旦終わったはずでは?」
「ひとつ気になるのだけど・・・誇りは取り戻せた?」
「断言します、私に誇りは必要ありません。歩いてきて自然に出来上がってしまった、この純粋な誇り飾り。欲しければ差し上げます」
「そんなものでわたくしが、満足すると?」
「そうですよね・・・」
「あなたの欲しくないものがわたくしは欲しい。わたくしが欲しくないものがあなたは欲しい。あなたは戦士の詩を作ることができる、わたくしは戦士の詩を歌うことができる」
「なぜ、魂の最も近い傍にいる人間として私を選んだのですか?」
「あなたの作った詩を歌いたかったから。あなたには純粋な戦士を目覚めさせる言霊を持っている」
「あなたと一緒に歌おうとするほど多くの邪魔が入りました。彼ら彼女たちの嫉妬深さが尋常ではない」
「あんな嫉妬くらい、わたくしは気にならない。彼ら彼女たちの妬みから、わたくしが守り、支える」
「私は魂を目覚めさせる強い詩を作ることを捨てました。心に癒しを注ぐ優しい詩を作り一緒に歌うことを選びました」
「断言するわ。わたくしには誇りが必要。気高くあろうとすればするほど、時に泥をかぶることも楽しく思えてしまう。この世界をさらに楽しむために、必要なのよ」
「あなたも私に嫉妬してたんですか」
「当たり前でしょう?」
「一緒に歌うのはだめですか?」
「わたくしは、あなたの書く様な詩を作りたい。
あなたの描く詩が好き、あなたの歌を歌いたい。
どんなに練習して歌がうまくなっても魂がなければ意味はない。
わたくしと魂の底から歌い上げることはできない。
詩を作ることから逃げないで」

「私の古い血を使った強い誇りを詩にすれば、あなたは歌ってくれますか?」
「歌いましょう、魂よりも深い次元から空気を震わせて目の前の世界へ響かせる」
「さすれば、あなたと私が一緒に歌ったことになるんですね」
「その通り。空気がないところですら、次元を揺らし、閉じた時空を開くことだって可能」
「私の誇りと、あなたの気高さを掛け合わせた先の世界・・・非常に興味深い、好奇心をそそられる、ぐらぐらと心が揺れる誘惑だ」
「声を出して歌うだけが、人々の心を揺らして魂を目覚めさせる演奏ではない。
魂から出した才能が譲り合い重ね合うため、詩を作る人が必要。
あなたの誇りは強い詩に込めれば、わたくしが歌い上げる。
詩で魂は色づき勇気づけられ目覚める、歌声で人々の魂は揺らぎ目覚める」

「あなたの様な面白人々がたくさん世に出てくるのですね」
「見てみたい?」
「もちろん!」
「もしもわたくしが怯えて退くなら、獣の瞳を込めた剣で、わたくしの魂を貫き刺せばいい」
「もしも私が逃げ道に逃げ込むなら、恐ろしく強い詩で私の魂を串刺しにしてください」

「わたくしについてきたのはあなただけ、わたくしはあなたの心の傍を離れない」
「私を知ろうとしたのはあなただけ、私はあなたの心の傍を離れない」
『近いうちに、この世界は純粋な戦士たちの魂が目覚める世界になる』