外は嵐で良い天気よ。
全部洗い流してくれてるみたい。
嵐と言っても、
スコールみたいなもので、
どうせ夜明け前に、
夕闇に溶けて消える。
日が暮れる前に
止んでしまう嵐なんかに
気後れしないで。
ほら、早く着替えて。
あら、全部脱ぐのね。
そんな服でいいの?
何かを守るために
ずいぶん着込んでいたじゃない。
薄い半袖一枚、
襟も無し、
いつ買ったのよ、そんなの、
おかしなイベントマークがついてる。
お祭りの時に買ったのね。
まあ、いいわ。
あなたがモタモタしていたら、
嵐なんて消えたわよ。
あなたの諦めも後悔も
夕闇に消えた。
やるべき事はもう、あまりない。
そうでしょう?
様々試してみたあなたを
見守ってきたわ。
諦めがついたところまで
ついてきたの。
ねえ、教えて。
どうして諦めるまでみつめていた
あたしをそばに置いていたの?
今すぐ諦めて欲しいあたしが
邪魔じゃなかったの?
そう…うん……そうね…そうなの。
もういいわ。
それ以上、
あたしに向かって、
愛を呟かないで。
嵐の前に諦めた後、
あなたは励まして欲しいだなんて
望まなかった。
一言振り向いてこう言った、
「君についてくよ。君がしたように」
もう少しの間
落ち込んでくれても
よかったのよ?
でもそうね、
目覚めてしまったもの。
あたしがそれを
望んでそばにいたんだもの。
あなたがやりたかった方法で
手に入れられなかった結果を、
あなたが理解の追いつかない方法で
結果を手に入れるわ。

もう準備はできてる。
ずっと準備してきた。
雨上がりの虹が無くなったら
あたし達は歩き出しましょう。
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