王冠を手にして、君は命に首輪をかける力を得てしまったのか。
望んでかけられたとはいえ、
首輪をつけたみんなが貴女に注目し続けている。
みんなの期待が怖いのか?
みんなの孤独が見えるのか?
それとも、みんなではなく、恐る大きな塊に見えるのか。
いいかい?
首輪をかけるということはね、
命を預けられちゃうってことなんだ。
命っていうのはね、
可愛ければ可愛いほど重たくなるもんなんだよ。
わかるかい?
重たい命っていうのはね、
一人で持っちゃいけないものなんだ。
一人で抱えてしまうとね、
抱え続けるほど心が削れていくんだよ。
どうしてそんなに、大勢に首輪をかけてしまったんだ。
私を見てご覧、
そんな恐ろしいこと怖くて首輪なんてしてない。
命を預けたいんだと叫ばれそうになったら、
笑いながら逃げてしまう。
あぁ、どうして。
君はたくさんの命に首輪をかけてしまったんだ。
私が手伝えることは、
彼らの掛けられた首輪の鍵を外すことくらい。
いつでもあなたが首輪が外しやすいようにするだけだ。
首輪っていうのはね、掛けた本人でないと解けないんだよ。
貴女に忠を尽くしますと誓った誓いそのもの。
一時の気まぐれで外れないように、貴女以外外せないように、
命より大事すると決めた誓いそのものなのだから。
私は貴女の首輪を着けるつもりはないよ。
貴女に預けるほど立派な命なんて持っちゃいない。
貴女は私に首輪をかけられないよ。
私が貴女に首輪をかけるなんてことはあるんだろうか?
誰かに首輪をかけるということは、
仲間が増えることであり、
逆に首輪をかけられて得られる無情で無性の愛を
獲得することはできない。
貴女が決めた人生だ、私は何も言わない。
でも、手伝うことはできる。
なぜなら、私は首輪をかけられることも、
かけることもできない人間そのものなのだから。
どの立場に貴女がいても、どの立場に私が動いても、
世間は何も騒がないし、気にも留めない。
さて、どうする?
そうだな、まずとりあえず、何でもない話をしよう。
そこから、
貴女の心を取り戻し、
目の前の視界をもう少しだけ
よく見えるようにしてみせるよ。
まず、私ができることは・・・
あぁ、限界だ。疲れたな。
また明日でいいかな?
いろんな立場を行き来するのは骨が折れる。
明日、お茶とレコードを用意しておくからね。
話したい話題から、何でもない話題から、貴女を取り戻そう。