2018年05月17日

たとえば誰かを知るために


たとえば誰かを知るために、
あなたのそっとしていた
「思い出の扉」を開いたとしよう。

その扉を開けるのを拒む人はこう告げた。

「扉の向こうには猛者がいる」

真実は開けてみなければわからない。

反論した後、
止めても無駄なことを告げた人は悟った。


開けて解き放った、
そっとしていた「思い出の扉」

猛者たちがわたしに駆け寄った。

「なぜ扉を開けた」

「なぜ我々に会いに来た」

「開けたが元の世界に逃げた連中はどうしてる」


彼らの質問には答えず、
質問を受けたいたったヒトリを目指して
突き進む。

彼らは吠えた。


「ああ、また逃げるのか」

「ああ、また去るのか」

「ああ、また我々を無視するのか」


ビルの谷間を抜けて
背後から声は遠ざかり。

静かな木陰にたたずみ、
折れた大木に腰掛けるヒトリの人と出会う。


たったヒトリだけ、
もっとも小さな声で質問される。

「今に『あなた』で、なにが不満なの?」


どんな質問を受けるかわからなかった、けど。
答えは決まっている。

「思い出の中の『自分』を一人ぼっちにさせたくない」


たったヒトリだった過去の自分を連れて、
再び扉の入り口まで歩く。

僕らを拒絶した猛者は
もうどこにもいなかった。

とうとうフタリは扉の外へ出ると、
「思い出の扉」は消えた。

posted by さゆり at 17:18 | 命の解放

2018年04月26日

この肺に愛をいっぱい詰めても、あなたが心触れる瞬間まで息をしよう。


どうしてそんなに、
わたしを愛してしまったのか。

わたしにはさっぱりわからない。


けれど、
あなたがわたしの心をワクワクさせて。

触れさせてあげるのはひどく、楽しい。


これはもうお互い重症なんだと思う。

あなたを通して、
わたしは愛を触れさせてあげる喜びを知る。


あなたの仲間というか、
あなたがわたしの心に触れようと。

いっつも駆け巡るあなたの姿に向けた「応援者」にも
心を触れさせてあげたよ。


でもね、どうやら彼らは
憧れの人と同じものを触っていたから嬉しいみたい。

腰砕けにはならなかったなあ。


そもそもあなたが変わっているんだと
わたしは推測した。


あなたを基準で世に人間が生まれてしまったら、
世界中があっという間に愛で溢れて。

息もできなくなるくらい愛で
埋め尽くされていくだろう。


知ってるかい?

酸素っていうのはね、
二酸化炭素があるから木々によって生成されるんだよ。


濃すぎる酸素は人間には毒だという人もいるけれど。

でもね、君があげた酸素の分
二酸化炭素をわたしが吐き出せば、
木々となる応援者たちは応えてくれる。


もしかしたら・・・

わたしの肺は膨張して
破裂してしまうかもしれない。


けど、そうなってもいいよ。

あなたの愛は面白い。

存分に知り尽くそう、存分に認めあおう。


わたしはわたしの心に今か今かと
触れることにドキドキさせながら。

手を伸ばすこの瞬間である
あなたのことを。

心の底から愛してる。



posted by さゆり at 23:05 | 命の解放

魂が散りじりに憔悴しても、例えば最後に残すコトバ「愛してる」


あなたはどれだけ、どれだけ、
あなたの心に触れたいかを知らない。

どれくらいの人々が、一度その先に触れてしまうと、
くしゃくしゃに腰砕けになるのかを知らない。

あなたは私が
「なぜ、愛の前に命尽きたのか」問いたけど。

そんな簡単な質問しか用意できないのかしら。


もっと難しいことを聞いて、
いくらだって答えるのだから。

私はあなたの心に触れるために今を存在させる。


遠い未来はわからない、
今はあなたの心に触れた瞬間を再び呼び起こす時。

私の心が腰砕けになる瞬間を重ねる自分が愛おしい。


ごめんなさいね。

あなたよりもあなたの心に触れていく
自分を優先して生きている。


あらゆる手を尽くして、
あなたの素直な時を迎えた瞬間、瞬間をあいしてる。

あなたが笑顔溢れる人生のとき、
その時の心に触れられたのなら、
私は業火に焼かれることも気づかないだろう。

でもね、愛を貫こうとするたびに、
命を落とすまであなたのことを愛して大切にしていくと。

なぜか周りに私の愛を応援する人たちが現れた。

「面白そうな愛だね、応援させてよ」

まるであなたみたいに、無邪気に笑って。
私の愛を認めて私に力を貸すのよ。


信じられないかもしれないけれど、
いまでは私に仲間ができた。

「ねえ、聞かせてよ。
今回の心に触れた瞬間はどうだった?」

嬉しそうに毎回、嬉しそうな報告を聞くの。



「面白い愛を受け止め、燃え尽きるならそれでいい」

あなたはいつだって、私の愛を笑って認める。


こんなに長い間、
あなたのエネルギーを共にしているのに
私にはその真意すら理解できない。

面白いけど、理解できない不思議で熱い関係。

理解できない同士なのに、
私たちは繋がり合う。

つながりを応援する者まで現れる始末だわ。


でもね、何度もこれしか言えないの。

たとえ、
魂のかけらが散りじりに愛で消耗して、
感情がなくなっても。

私はあなたの元に愛を届ける。


あなたの素直でシビレる心に触れる手段、
たった一つ見つけた手段。

私はこの世界が滅びるまで、
決してこの手段を手放さない。


あなたはまた、私に笑っていう。

「あなたの前で素直に笑っているだけでいいの?」


そうよ、ええそうだわ。

私はあなたの素直で痺れる心に触れるためなら、
あなたの愛する人もまとめて、愛してる。


地球の女神はいつだって、
私たちの面白そうな愛のやり取りを見て笑ってる。

posted by さゆり at 22:47 | 命の解放

2018年04月19日

最後には愛しか残らなかった。


満員電車、高い湿度。

遠慮のない人が放つくしゃみ・・・

車内はいつも何か、熱く。


ここは暑いくせに、
人の冷たい感情から何かを生み出す。


こうして毎日、仕事へ赴いているが
どうして毎朝の出かけはギリギリなのだろう。

気分を変えて帰り道のコースを変えたら、
そんなに代わり映えもなく。


なぜ、私は変化を求めるのだろう。


私は友人とコーヒー片手に語らった。

「なぜ人は変化を求めるのだろう」

するととんでもない答えが私を出迎えた。

「モテたいからに決まってるだろ?」


モテたい・・・から・・・


ああ、そうか。

私がこうして毎日、
時間ぴったりに仕事に赴くのは、
信頼、人気、注目を浴び、愛されたいのだと。

その先に、その結果のさきに、
きっと愛があるのだと教わり信じていたのだ、と。


私は友人と紅茶を片手に語らった。

「愛を得るにはどうしたらいいのだろう」

「もうあるだろう?」


友人は私の手とジャスミン茶に触れて語った。

「こんな話を真面目にできる、友が大切だ」


結果を求める先には愛は存在していなかった。

結果を求めようと歩く途中に転がっている。


そうして給料という名の報酬を受け取り、
カフェのレジに手渡したあと。

私たちには愛しか残らなかった。

posted by さゆり at 10:10 | 命の解放

2018年04月09日

最後の一雫は体を冷やしもするし温めもする。

飲み干したあとの一雫を飲もうと、
必死にカップを覗き込む。

必死になるわたしをよそに、
一雫だけじゃなく二雫もポタポタと
テーブルに滴り落ちる。

ある日こんなことを考えた。

残ったカップの唇に救いきれない水滴跡、
コーヒー占いのように模様の描きを見て、
私を占うのだ。

なになに、どおれどれ。

声消えて離れた恋人、
声届かぬ仕事の想い、
声発せず感謝の言葉。


冷え切ったコーヒーの一雫を飲み干すと
しゅうっと喉の奥が静まり返る。

ああ、わたしには語釈が足りない。

わたしには励ます語釈がない。


喉を通り過ぎた冷たいコーヒーは
わたしの背筋を冷やす。

そんなわたしは
しばらくコーヒー占いを封印したんだ。



「ねえ、コーヒー占いって知ってる?」

無邪気に彼女は答えた。

「ああ。知ってるよ」

興味なさそうに答える。


なるべく耳を開かないように、
おそらく最期の一滴まで、
すべからく何事も起きないよう祈りながら。

わたしは半ば心は必死に
大切な彼女のまえで丁寧に
カップのコーヒーを飲み干す。

「最後を丁寧に飲む人って素敵ね」

冷え切ったコーヒーの最期の一雫が、
喉を通り過ぎた。


ああ、わたしには語釈が足りない。

わたしには愛をつぶやく語釈が足りない。


喉を通り過ぎた冷たいコーヒーは
なぜか全身を温めた。


今は、少しだけ、
消えてしまう最後の一滴を楽しめる。

posted by さゆり at 06:53 | 命の解放
666666.jpg
叶えたいヴィジョンを
人工精霊がサポート
ヴィジョンプロデュース